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ちょっと真面目にウニの全国対戦の勝ち方を考える

この記事は、 (2つめ)ゲキ!チュウマイ Advent Calendar 2022 - Adventar の $2$ 日目の記事です。

はじめに: この記事は全国対戦でのトップ率がおおよそ $50\%$ までの方を対象としています。圧倒的な実力で相手を捻じ伏せることが高確率で可能な方にはこの記事は役に立たないと思います。

この記事では、自分が全国対戦に潜る時に意識していることをいろいろとまとめています。全国対戦関連で文章化された文献がほぼなさそうなので書くことにしました。

 

0. 概論

全国対戦での勝率を上げるための基本的な戦略は以下の通りです。

  • なるべく当たり部屋を狙う
    • 強い相手と戦うことを避ける 
    • なるべく CPU が入る対戦を狙う
  • 対戦相手を見て上手く選曲する
  • 1曲ごと、1小節ごとに自分の戦略を立てる / 見直す
  • 「曲ごとに同点」の発生を避ける
  • 常に相手との得点差を意識する

1. 全国対戦にいつ潜るべきか?

全国対戦に潜るべきタイミングは以下の通りです。

  • 全国対戦開始直後(昼12時ごろ)
    • この時間帯は参加者が非常に少ないため、格差タイマンを誘発しやすくなります。負け戦が絶望的になりますが、トップ率は伸びやすくなります。
  • 全国対戦終了間際(夜22時ごろ)
    • この時間帯は参加者が少ないかつ他のプレイヤーが疲れている可能性も高いです。この時間に向けて温めていくことで、同格の相手にも勝ちやすくなります。

逆に、全国対戦に潜ることを避けるべきタイミングは以下の通りです。

  • 平日の 18 時から 20 時頃
    • この時間帯は(特に学校帰りの)学生が最も多く、強豪ひしめく時間帯となります。対戦相手も多く欠員が出にくいため、全ての順位を取る確率が(タイを無視した時) $25\%$ に非常に近くなります。
  • 全国対戦解禁 または 長めのマップ追加を含むアプデ当日
    • このケースでは、上で述べた平日の事情が一層ひどくなって現れます。マジで一瞬で対戦枠が埋まります。なので、勝率を上げたいのであれば解禁目的をさっさとクリアしてトンズラしてしまうことに越したことはありません。このタイミングで昇格戦に挑むことは死を意味します。

2. 全国対戦で何を投げるべきか?

全国対戦で投げるべき曲は、おおよそ以下の $3$ パターンに分かれます。

  • 相手が格下の場合
    • この場合は基本的に何を投げても構いませんが、ある程度の高難度でひっくり返される確率の低い曲が良いでしょう。
  • 相手が同格の場合
    • この場合、素直に自分が同レート帯と比較して得意な曲を投げましょう。
  • 相手が格上の場合
    • この場合、対戦の攪乱度を上げるのが最適となります。なので、低難度で理論値勝負を仕掛けることや癖譜面が狙い目となります。

なお、新曲を投げるのは相手の初見の楽しみを奪ってしまうので基本的には推奨しませんが、伝導楽曲はその例外です。なので、伝導を受け取ったら極めて武器にすると自分は勝てて相手も曲を貰えて Win-Win になります。(要出典)

また、同点が生じやすい曲を投げるのは基本的には悪手です。理由は後述します。

3. 対戦全体の戦略は?

3-1. 基本的な流れ

基本的には、以下の優先度で対戦を進めていきましょう:

  • $3$ 曲目終了時点で $2$ 位と $3$ 点差をつける
    • この条件を満たすと、トップ確定で $4$ 曲目に入れます。
  • $3$ 曲目終了時点で $2$ 位と $1$ 点差をつける
    • この条件を満たすと、暫定 $2$ 着に負けても間に誰も挟まらなければトップタイで済みます。
  • $3$ 曲目終了時点で $1$ 位と $1$ 点差に喰い下がる
    • この時点では、正直 $1$ 位タイで $3$ 曲目を終えるよりも $1$ 点差つけられた方が(意外にも)良いケースが多いです。その理由として、相手視点だと自分に負けても間に誰も挟まらなければトップタイで済むという余裕が生まれることが挙げられます。(同点で並んでメンタル破壊 $4$ 曲目をするよりよほど健全です)
  • ($3$ 曲目終了時点で) $1$ 位と $3$ 点差に喰い下がる
    • ここまで来ると狙いが $2$ 着以下になっている可能性も高いですが、自選で攪乱度が高い曲が残っていたりするとそれが火を噴く可能性を残すことができます。
  • 以上の流れを $2$ 位、 $3$ 位狙い向けの文章に読み替えて同じことをする

また、相手が極端に強い場合はラス(ゲージ減少)回避の戦術をとることもできます。

  • $4$ 曲で $10$ 点を確保する
    • プレイヤー全体が $4$ 曲で得る得点の合計は(同点が起きなかった場合) $40$ 点なので、 $10$ 点を確保すると基本的には最下位になることはありません。
3-2. ポイントの偶奇性の死守

ここで、「ポイントの偶奇性」という重要な概念を導入します。

ある全国対戦で $1$ 位を取ることができそうな本命プレイヤーが $A,B$ の $2$ 人であるとき、番狂わせが起きなければ片方が $4$ 点、もう片方が $3$ 点取ることになります。(ここで、実力が $2$ 人ずつで大きく開いていた場合は $2$ 点と $1$ 点に読み替えることにより同じような概念をラス回避目的で導入できます)

ここで、奇数曲終えた時点でこの $2$ 人の得点の和が奇数、偶数曲終えた時点でこの $2$ 人の得点の和が偶数であるパターンを「ポイントの偶奇性が守られている」と言いましょう。

ポイントの偶奇性が守られている場合、「同点に持ち込みやすい」というメリットがあります。

  • 例えば 1pt-4pt-4pt-4pt と 4pt-3pt-3pt-3pt 、 4pt-3pt-4pt-3pt と 3pt-4pt-3pt-4pt などが同点に持ち込める例です。
  • 3-1 で述べたように、同点に持ち込みやすい形はなにかとメリットが大きいです。

逆に、以下のイベントが起きると偶奇性は崩れます。

  • 本命 $2$ 人の順位差が $0$ または $2$ となる。
    • 同率 $k$ 位、 $1,3$ 位または $2,4$ 位のケースがこれに該当します。

偶奇性が $2$ 回崩れると元に戻りますが、ぶっちゃけ上の事象が同じ全国対戦で $2$ 回起こることは稀です。なので、(特に曲ごとに負けている時に)偶奇性を死守するような順位で耐えることは意外と大事です。

3-1. の種明かしをすると、 3-1. の事例はだいたいポイントの偶奇性が保持されています。なので、 3-1. のセオリーに従って試合を進めていけば最終 $4$ 曲目が楽になるケースがとても多いです。

3-3. 楽曲内同点を避けるべき理由

ここまで来ると楽曲内同点を避ける理由もいくつか見えてきたことでしょう。その理由とは以下の通りです。

  • 順位が上丸めであるため、全員のポイントの総和が $40$ から増えてしまい、 $10$ 点を狙いに行く戦略では厳しくなる。
    • 特に $3$ 人同点が起きるとポイントの総和が $43$ 以上になることが確定するため、 $10$ 点取っても最下位になりかねない。
  • ポイントの偶奇性が崩れて嬉しくない。
  • 単純にひとつ落とした時のリスクが大きい。ポイントの総和が大幅に増加しポイントの偶奇性が崩れた際に大きな不利益を被るのが自分になる可能性がある。

4. 楽曲内の戦略は?

ここまでで、どういう状況に持ち込みたいかの大まかな方針は立ちました。では、それを実現するために同じ楽曲内ではどのような戦略を立てれば良いでしょうか?

4-1. 常に 赤51 = アタ1 赤101=ミス1 の交換を意識する

基本的には、常に 赤51=アタ1 赤101=ミス1 の交換を意識して運指を決めましょう。

  • 最終的に赤の数勝負になりそうな場合、難所は擦るのではなくガチ押しする
  • 現状アタやミス単位で差がついているので、赤を出してでも AJ 通過を優先した運指を選択する

といった具合です。特に、筐体上でパッと確認できるのは自分とひとつ上のプレイヤーとのスコア差だけなので、コンボを切ったりアタを出したと思しき動きがあれば誰がどの程度出したかをなんとなく覚えておきましょう。運指判断のカギとなります。特に無音がある曲はスコア差把握のチャンスとなるタイミングがあります。

4-2. CPU には絶対に負けない

CPU は基本的に部屋内プレイヤーより多少弱く設定されているので、CPUに負けるだけで大番狂わせなだけでなく偶奇性が崩れることにも繋がります。 CPU には絶対に勝てるようにしましょう。

なお、 CPU のスコアは譜面定数依存とされています。そのため、

  • 物量が多い / 逆詐称 曲は CPU に勝ちやすい
  • 逆に、物量が少ない / 詐称 曲は CPU に一矢報いられる危険性がある

ということになります。タイマンまたは $3$ 人戦になった場合にこれらのことも頭に入れて選曲すると良いでしょう。

5. 昇格戦への対処法

最後に、昇格戦特有の対処法を示します。

もちろんタイマンや $3$ 人戦を狙いに行くことは大前提ですが、ピンチに陥った時に使える対処法がもうひとつあります。

全国対戦のマッチングには以下のような性質があります。

  • マッチングに影響する要素は以下の $2$ つである
    • 実力値 (ベ枠とみられる) ... 要素 $B$
    • 全国対戦における直近の対戦成績 ... 要素 $R$

要素 $B$ は基本的にいじることはできません。(いじってもそんな嬉しくないでしょう) しかし、要素 $R$ はいじることができます。

全国対戦の昇格戦中は、 $k$ 位以上が条件である時に $k+1$ 位を取っても $4$ 位を取っても受ける不利益は同じです。なので、条件達成が厳しくなった場合で他のプレイを捨てて $4$ 位になることで昇格戦の成功確率を釣り上げることができます。(惜敗する方が不利益に繋がるという仕様もどうかと思いますが…)

 

ひとまず、自分が全国対戦で意識していることのうちある程度の部分はこの記事に書けたと思います。

個人的には、全国対戦で「$K$ 位タイを狙いに行った方があとあと楽だし全体でゲージが伸びる量も増える」「惜敗するくらいなら惨敗した方が良い」みたいな仕様はそこそこ歪んでいる気がするので、

  • 単曲リザルトの重みが $40\%$ 程度
    • これがあることによって、超強い人に $16$pt を逃させただけでも大金星でレートが伸びるようにできる
  • 総合結果の重みが $60\%$ 程度
    • ここの重みを一定以上にすることによって、あくまで総合結果が対戦結果の本質であることを維持することができる

くらいの重みが付いたイロレーティングベースの対人 Rating (なので、$K$ 位タイではなく単独 $K$ 位を取るメリットがある) が実装されて欲しいなとか思ってたりします。

それでは、良き全国対戦ライフを!